チョークレビュー

チョーク(白墨)を愛する人のチョークレビュー

7.--馬印--DCチョークDX ※炭

【ギャラリー】






頼もしく、背景を知る者としては涙なしでは見られない文言とイラスト。



スチロールの緩衝材に守られて、1本1本が独立している、フルタッチですね。




上はフルタッチ。
見た目は、特に似ていません。
やはり、刻印があると引き締まりますね。




コーティングの色も違います。


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【基本データ】
メーカー:馬印
所在地:愛知県名古屋市
商品名:DCチョークDX
原料:炭酸カルシウム
状況:販売終了


入数:72本
価格:748円(2021年時点)
1本:10.4円


1本の重さ:12g
1本の長さ:7.0cm
1本の太さ:直径1.0cm


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【3段階評価】
完全なる主観により、A~Cの3段階で評価
※フルタッチの代替なので、比較対象は専らフルタッチです。


①持ちやすさ B
※フルタッチと比較してみると、ただでさえ(ニューポリと比べると)スモールサイズのフルタッチよりも長さが短くなっています。ちょうど、フルタッチ>DCチョークDX>不二ダートレスという具合。しかし、重さはフルタッチよりも1g重いです。短くなって重くなって…相対的にずっしりとした重さを感じます。フルタッチとは、やはり似て非なるものなのでしょう。粉が飛びにくい設計に由来するのかもしれません。長さと重さに加えて、ツルツルなコーティングなので、たまに手から落ちそうになります。


②書きやすさ A
※書きやすいです。引っかかることなく、スラリと書けます。しかし、あのフルタッチのクリーミーさは、その足元にも及びません。そして残念ながら、たまにカスれます。1本使う中で1度か2度ほどですが、残念ながら。フルタッチを知らなければ、書きやすいチョークですが、何しろ比較対象が格上すぎます。


③折れにくさ A
※折損強度が高いという箱の文言通り、フルタッチよりも折れにくいかもしれません。
謳い文句に流されているだけかもしれませんが。ただ、炭酸カルシウム製チョークは総じて折れにくいですけどね。不二も然り。


④手の汚れにくさ S
※クリアながら、しっかりコーティングされているので、全く手に付きません。エンド部分ももちろんコーティングがあるので、使いやすいです。そして、コーティングのないチョークの先の部分をこすっても、大して手に付きません。その点、フルタッチは、チョーク部分をこすると手が汚れます。その辺りの軍配はこちらに挙がるかなと感じます。黒板の粉受けに置かれても、ガッツリコーティングなので拭き取れますし。


⑤粉の少なさ A
※これも炭酸カルシウム製なので、やはり相対的に粉は少ないですが、加えて設計からもその様子がわかります。粉が重く、飛び散りにくいというのは書いている時にはさすがに分かりませんが、書き終わった黒板を消した黒板消しを外で叩くと、大半のチョークの粉は空中に舞い上がって風に流れますが、DCDXチョークの粉だけはそのまま下に落ちます。気のせいかとも思いましたが、わざわざ箱で謳っている辺り、間違いないでしょう。


⑥消しやすさ B
※硬いので、黒板に筆記跡が残ります。ここは硫酸カルシウムに劣る点です。かと言って弱く書けば細字になり、遠くからの視認性が下がるので、黒板消し係に文句を言われながらも濃く書きます。


合計 17/18点


A=3点として計算
最高の合計点は18点


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【レビュー】
羽衣文具の最高傑作「フルタッチ」の終売により、世界が驚愕した(かどうかは分からない)が、それを馬印が引き継ぐ形で登場したのがこの「DCチョークDX」でした。羽衣文具からも、生産終了を告知後の受注が追い付かないが、代替品が馬印から出るので、そちらも的なお知らせがあったように思います。とにかく、公式の代替品として、会社を超えて販売されることになった経緯があります。過去形なのが残念です。もともと、同じ愛知県名古屋市内にあった羽衣文具と馬印の2社がどんな関係だったのかは存じませんが、羽衣の技術、製法を馬印でさらにブラッシュアップし、最高級品質のチョークということで生まれ変わりました。
箱の老舗2社が共同開発という文言とイラストが涙を誘います。
箱を開けると、さらに嬉しい景色が目に飛び込んできます。スチロールの緩衝材に1本ずつ守られて立っているスタイルは、まさにフルタッチそのもの。
そこまで来て残念なのが、見た目のアイデンティティのなさ。フルタッチは、唯一無二のコーティングに加え、Hagoromoの文字が入っていました。何とも言えないあの気品をまとう高貴さ、フルタッチで書いている感は、やはり白色一辺倒ではもたらされません。無数の種類の白チョークに混ざっていても、一目でフルタッチを見つけられるのに対し、DCチョークDXは、よく見分けなければ見紛う見た目になってしまいました。
見た目のことをもう少し付け加えると、フルタッチがシュッとしたストレート体形に対し、DCDXはちょっと曲がりながらずんぐりむっくりといった様相。不二チョークほど曲がってはいませんが、どうにもシルエットが引き締まりません。好みの問題ですけど。


肝心の書き心地は…結論から言うと、フルタッチを超えて来れば、販売終了には至りません。フルタッチがドラえもんなら、DCチョークDXはドラミ、クラウンとマークX、例えが分かりづらいですね。パッと見、同じようなパワー、ポテンシャルを持ちつつも、比べると明らかに下だなあという感じです。後継を謳っていなければ、もう少し評価は高いと思いますが、何度も言うように、比較対象が圧倒的過ぎて。
とはいえ、総合的に見ても、他のチョークより優れているため、使いやすいですね。終売が決まってからも、各地で最近まで在庫が販売されていたこともあって、手元の在庫もたっぷり。普段使いできる高品質チョークです。

6.--日本白墨--天神印チョーク(きぬごし製) ※硫

【ギャラリー】





情報がたくさんあります。コーティング剤が練り込み式、運筆滑らかで指への負担がありません…なるほど。



カラーユニバーサルデザイン、見やすさにも配慮している内容が書かれた文も同梱されています。力の入れようを感じます。



毎度、数本使用してからの写真なので、美しさがありません。
写真撮る前に、嬉しくて、どんな書き味なのか待ちきれなくて、出して使ってしまうのです。




天神印チョークのエンドは、出っ張りではなく凹んでいます。これもいいですね。
表面の細かい気泡のような凹凸が気になります。


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【基本データ】
メーカー:日本白墨
所在地:埼玉県三郷市
商品名:天神印チョーク(きぬごし製)
原料:焼き石膏(硫酸カルシウム)
※炭酸カルシウム製としては「天神印セラミックチョーク」があり。
状況:販売中


入数:100本
価格:583円(2021年時点)
1本:5.8円


1本の重さ:6.0g
1本の長さ:7.9cm
1本の太さ:直径1.1cm


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【3段階評価】
完全なる主観により、A~Cの3段階で評価


①持ちやすさ A
※標準的なサイズです。ニューポリより1g程度重いので、両手に持って比べると重さを感じますが、特に不便を感じることはありません。


②書きやすさ B
※炭酸カルシウム製に比べたら柔らかいのですが、ニューポリの柔らかさ、しっとり感がありません。比べると、乾いている感じの書き味です。「運筆が滑らかで、指への負担が有りません」の文言ですが、滑らかを追求した最高峰チョークは、羽衣のフルタッチです。これは絶対に揺るぎないものです。原料の違いを加味し、硫酸カルシウム製の中で考えると、こちらはニューポリに軍配です。ニューポリのしっとり(ねっとり)感には、残念ながら及びません。とはいえ、羽衣文具は引退済なので、現役チョークの中では、上々です。


③折れにくさ B
※特筆すべきことのない、平均的な折れにくさです。硫酸カルシウムなので、力を籠めればすぐに折れます。


④手の汚れにくさ B
※見た目はコーティングなしなのですが、以下の要領で手に付きにくい加工が施されているようです。
《従来の表面コーティングとは異なり、原料の攪拌時に特殊コーティング剤を混入する加工方法で、これにより石膏チョーク 使用時の粉の付着や飛散を大幅に低減するものです。》(ホームページより引用)
しかし、物理的に樹脂などでコーティングするには勝らないようで、全く手が汚れないというには至りません。コーティングなしのチョークに比べたら、もちろん汚れにくくはなっています。


⑤粉の少なさ A
※上記の通りの加工により、確かに粉は少ないです。これは掃除の時に助かる…と思いましたが、いや、少なからず粉は出ますので、粉受け部分は汚れます。粉が出ないチョークは、物理的にありえません。飛散という点では粉が少ないので、汚れにくいです。だからか、減りも少ない気がします。


⑥消しやすさ A
※消した時に、黒板に跡が残りません。特に炭酸カルシウム製に多い、「色ははっきり乗るけど、消しても傷ついた跡が暫く残る」ことがありません。硫酸カルシウム製の中でも、字も、跡も消えやすい部類です。



合計 15/18点


A=3点として計算
最高の合計点は18点


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【レビュー】
とても力を入れているんだなあというのが、ホームページからも、箱などからも伝わってきます。元気なチョーク工場は嬉しいです。元は大正時代の文化チョーク、戦中に日本白墨に社名変更しています。由緒もあり、しかし時代の流れに上手く乗って新しい製品を出し続けている、関東埼玉のチョーク会社です。天神チョークなので、福岡かと思いきや、天神様(菅原道真公)にかけているようでした。しかし、福岡の天神=天神様=菅原道真公なので、同じか。もともとは菅公チョークとも言ったそうなので、菅原道真公にかかっていることは間違いありません。戦前の教育に必須のチョークだから、学問の神様にかけたのでしょうか。
とにかくホームページがいいです。さらに、某動画サイトに工場見学動画があるので、手元の天神チョークがどんな風に出来上がって来ているのかを知ることができるのも、好感度と愛着が沸く大きな要因になっています。(わたくしだけか)
そしてなんと、手作りチョークができちゃうキットも販売しています。しかもこのご時世、2021年1月から…元気な企業です。
ホームセンターや文具店で探しているのですが、未だ手に入らず。



さて、天神印チョークです。
なお、天神印のチョークにも、硫酸カルシウム製と炭酸カルシウム製があり、これは炭酸カルシウム製(焼き石膏)です。硫酸カルシウム製は、天神印セラミックチョークです。


上の項目にはありませんが、色の乗りと白の発色がきれいです。勝手に言葉を作っていますが、色の乗りが悪いとかすれた感じになります。直線を引いても、スカスカな線になってしまうと、遠くから見にくいですが、天神印チョークはそこそこの色の乗りをします。白色の発色についても同様で、遠くから見た時に、パッと目に入る鮮やかな発色です。この辺り、同梱の紙に書かれていた「カラーユニバーサルデザイン」なんでしょう。万人が見やすいチョークです。
どうでもいい内容ですが(どれもどうでもいいが)、チョーク表面の見た目は細かな気泡のような凹凸があり、見栄えはよくないです。同じ硫酸カルシウム製のニューポリは、凹凸こそあるものの、ここまで細かく多くないので、その辺りの美しさも兼ね備えていたんだなあと思ってみたり。何分、盲目の羽衣信者なので。

5.--橘高白墨--キッタカゴールデンチョーク ※硫

【ギャラリー】









コーティングの系統は、ニューポリと同じなのか、風合いはそっくりです。
言わずもがな、上が羽衣ニューポリ、下が橘高白墨ゴールデンチョーク。



同じ橘高白墨の、上がノーマルチョーク、下がゴールデンチョーク。
全く同じ様相なので、ノーマルにコーティングを施したものがゴールデンチョークということでしょう。



出っ張りも同じです。


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【基本データ】


メーカー:橘高白墨
所在地:広島県福山市
商品名:キッタカゴールデンチョーク
原料:焼き石膏(硫酸カルシウム)
状況:販売中


入数:100本
価格:594円(2021年時点・参考)
1本:5.9円




1本の重さ:6.0g
1本の長さ:7.8cm
1本の太さ:直径1.1cm


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【3段階評価】
完全なる主観により、A~Cの3段階で評価


<<今回は、4.--橘高白墨--キッタカチョークのコーティングありバージョンのため、
                           項目④以外は同じ内容です>>


①持ちやすさ A
※長さ、太さはニューポリとほぼ同じです。重さが1g程度、こちらの方が重いです。たった1gですが、3本指で持つため、1gだろうと薄っすらその違いは分かります。とはいえ、さして持ちやすさに変化はありません。矛盾していますが・・・。


②書きやすさ C
※ニューポリよりも1g重い分、中身が密なのかと思いきや、そういうわけでもないようで、どうにもスカスカな書き味です。色の乗りが悪い分、色が薄いです。遠めに見ると顕著です。ニューポリほどの柔らかさもなく、黒板とチョークとの間にザラザラと摩擦を感じる硬さ、少し嫌な音がします。


③折れにくさ C
※折れやすいです。割と。焼き石膏製なので、こんなものなのかもしれません。長めに持って書いていると、筆圧が強いのも相まってポキっといきます。箱の注意書きの通り(どの箱も同じような文句ですが)、チョークホルダーを適宜使うことで折れにくくはなりますね。ちゃんと、キッタカ製の挟むだけの銀色のホルダーも買いました。チョークホルダーにはキャップ付き、マグネット付き、バネで押し出すなど数多ありますが、ごちゃごちゃしたホルダーより、洗濯ばさみの要領で挟み込む簡潔明瞭なホルダーの方が使い勝手がいいです。余計に大きくならずにスッキリしてますし、見た目も好きです。話が逸れました。


④手の汚れにくさ A
※写真の通り、キッタカチョークに黄色っぽいコーティングがされています。そこだけを持って書いていけば、手は汚れません。このキツネ色でもって「ゴールデン」なんでしょう。


⑤粉の少なさ B
※焼き石膏=硫酸カルシウム製の相応です。ただ、色の乗りが悪い=チョークが減りにくい=チョークが削れにくい ということを加味すると、その割には粉は多いのかもしれません。まあ、さして気になりません。


⑥消しやすさ C
※書きやすさのところで触れたように、摩擦を感じるゆえに、字を消そうとラーフルひと拭きしても、まだ余裕で読めるレベルで消えません。例えば、消え味抜群の不二やフルタッチが同じ力でもって1回で消えるなら、キッタカは3回といったところでしょうか。これも、黒板の表面やラーフルとの相性があるので、やはり一概には言えませんけど。逆に言えば、屋外などでは消えにくいのはセールスポイントになりますね。雨ん棒チョークと比べてどうなのかは分かりませんが。



合計 11/18点


A=3点として計算
最高の合計点は18点


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【レビュー】


前回のレビューでは、同じ橘高白墨のノーマルチョーク、「キッタカチョーク」を紹介しました。今回は、そのノーマルにコーティングを施した「ゴールデンチョーク」です。
まず、何よりあのチョーク界唯一のデザイン性を誇った箱が、全く無味乾燥なものになっています…いや、ちゃんとフォントや文字の大きさなど工夫されているのですが、前回のキッタカチョークの強烈な箱を見た後では、大した特徴のない箱に見えてしまいます。せっかく素敵な箱なので、カラーバリエーションを変えたものにしたらよいと思うのですが、何か理由があるのでしょうね。


その目玉のコーティングですが、箱の耳に「特殊樹脂」と書かれています。ニューポリの説明は「樹脂」でしたので、恐らく同じ系統のものと思われます。ゴールデンチョークに出会う前は、黄色っぽいコーティングと思っていましたが、なるほど、キツネ色のゴールデンなコーティングですね。パッと見たところ、ニューポリと見紛うこともありますが(ないけど)、エンドの出っ張りで区別できます。


それにしても、1箱(100本)でたった33円の違いならば、こちらのゴールデンチョークの方が買いですね。1本3円の差、果たして真っ当な利益が出ているのでしょうか、心配です。コロナが収まったら、工場を見に行きたいなあと思っていますが、いつになることやら。