チョークレビュー

チョーク(白墨)を愛する人のチョークレビュー

3.--羽衣文具--フルタッチチョーク(ロング) ※炭

【ギャラリー】







焼き石膏(硫酸カルシウム)のニューポリと、一回り小さい炭酸カルシウム製のフルタッチロング。羽衣文具の主力だった2種を並べてみました。
マスキングテープは、転がらないように置いただけです。


そして、チョークマニアを謳っておきつつ、箱、ないです。。。


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【基本データ】
メーカー:羽衣文具
所在地:愛知県春日井市
商品名:フルタッチチョーク(ロング※)
※ノーマルとロングとありますが、今回は恐らく一般的なフルタッチ=ロングです。
原料:炭酸カルシウム
状況:廃業に伴い生産終了※
※韓国セジョンモールが製造方法を引き継ぎ、韓国羽衣フルタッチチョークとして販売中


入数:72本
価格:683円(2015年時点)
1本:9.5円


1本の重さ:11g
1本の長さ:7.5cm
1本の太さ:直径1.0cm


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【3段階評価】
完全なる主観により、A~Cの3段階で評価


①持ちやすさ B
※ニューポリに比べて、長さ、太さともふた回りほど小さく、しかしどっしりとした重さを感じます。チョーク=ニューポリ(しつこい)なので、相対的に持ちやすさは下がりました。


②書きやすさ S
※3段階とか言いつつ、早速掟破りのSランクです。フルタッチは滑らかを超越し、もはやクリーミーとも言える書き味です。上記の通り、多少の重さがあるため、指先に力を籠めなくてもチョークの自重でサラサラと書き進んで行きます。筆圧自慢のわたくしも、フルタッチで書く時だけは、自然と力を籠めずに書きます。初めてフルタッチを持った子どもたちからは、「書きやすすぎてやばい」との評価をいただいております。


③折れにくさ A
※折れにくいです。炭酸カルシウム製の特徴ですが、消耗も少ないので、同じ1本を使い続けられます。結果的に、経済的なのかは分かりません。


④手の汚れにくさ S
※3段階とか言いつつ、Sランク並の汚れなさです。全く汚れません。出会った全てのチョークの中でも最高ランクのコーティングです。コーティングの見た目は色ムラがあって、美しくはないですけどね。


⑤粉の少なさ A
※硬く折れにくい反面、強く書けば削れ出る粉は多少ありますが、上述の通り、軽く書くチョークなので、粉も少なく、気になりません。


⑥消しやすさ A
※炭酸カルシウム製に往々にしてある、「チョークが硬いがために黒板を薄く傷つけてしまう」ということがありませんので、サッと消せます。恐らく、力を籠めずともスラリと書けることに由来するのでしょう。黒板係からも上々の評価をいただいております。


合計  19/18点


A=3点として計算
最高の合計点は18点


謎のSランクが2つあるため、最高点を超えてきました…


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【レビュー】
ニューポリ同様、羽衣チョークの特徴として、チョーク1本ずつへの印字が挙げられます。チョークの顔ですよね。印字がある羽衣チョークに親しんできたので、何もないチョークは少し素っ気ない印象です。そっちが大多数なのですが。
このフルタッチチョークには、黒インク、筆記体ではない細めの字で「Hagoromo」と書かれています。紹介したニューポリと字体は似ていますが、丸っこいHではなく、ストレートなHですね。これもまた、製造時期によって異なるようです。


さすが、海外からの評価も高く、いいか悪いかは別にして、未だにプレミアがついて(最も需要の高い白72本が1箱数千円~〇マゾンは18800円…!?)取引されるだけのことはあり、最高に書きやすいです。これも、良し悪しは分かりませんが、メディアが廃業やロールスロイスとか言って取り上げなければ、静かに取引されていただろうに。しかし、当時の定価、700円程度のおよそ25倍とはね。「チョークは高値で転売するためにあるんじゃない、使うためにあるんだ」と、チョーク収集人が何を。


さて、フルタッチに関しては、「チョークが黒板に引っかかる」という言葉がありません。絶対にありません。きめ細かい粒子も揃っているのか、ムラなく、ダマもなく書き続けられます。延々と、永遠に黒板の上を滑らせていたくなります。冗談ではなく。美味しいクリームのケーキを食べた時に、舌の上で溶けるとか、滑らかとか言いますが、まさにそれ。書き心地が、もうクリーミーすぎて、他の雑多なチョークと同じ「チョーク」という分類にいてはいけないレベルです。もう、正規ルートでは手に入りませんが、これは早く気づいて買っておくべきでしたね。頑固なので、ニューポリさえあればいいと見向きもせず、最後に慌てて買って気付いた愚か者でしたが、それでも、書き心地を味わえただけ幸せでした。
ニューポリとフルタッチを完備し、気分によって使い分けることが気兼ねなくできる環境が整っている教室が、理想の仕事場です。


ところで、我が愛しのニューポリチョークと比較してみますと、ひと回り細身なことが分かります。評価の分かれるところですが、これはこれで持ちやすいです。逆に、この質量でこれ以上太いと書きにくいかもしれません。この長さならば、この重さが最高なのかもしれません。愛される要因は、書きやすさだけではないのです。


惜しむらくは、持ち手側のエンドの処理。他のほとんどのチョークがきれいな断面を作っている中で、フルタッチだけは少々雑な印象の断面になっています。とはいえ、見た目の趣味の部分なので、そんなことよりも羽衣文具が残してくれた世界に誇れるフルタッチチョークの書き味をもうしばらく楽しみます。まあ、在庫がなくなったとて、定価の十数倍もの値ををはたいて買い足すなんてことはしませんが、どこかで、フルタッチロング白の箱だけもらえないかしら。

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