チョークレビュー

チョーク(白墨)を愛する人のチョークレビュー

4.--橘高白墨--キッタカチョーク ※硫

【ギャラリー】









箱のビジュアルが抜群に目を引きます。石膏特有の見た目の柔らかさもいいですし、エンドの出っ張りもかわいいです。


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【基本データ】
メーカー:橘高白墨
所在地:広島県福山市
商品名:キッタカチョーク
原料:焼き石膏(硫酸カルシウム)
状況:販売中


入数:100本
価格:561円(2021年時点・参考)
1本:5.6円


1本の重さ:6.0g
1本の長さ:7.8cm
1本の太さ:直径1.1cm


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【3段階評価】
完全なる主観により、A~Cの3段階で評価


①持ちやすさ A
※長さ、太さはニューポリとほぼ同じです。重さが1g程度、こちらの方が重いです。たった1gですが、3本指で持つため、1gだろうと薄っすらその違いは分かります。とはいえ、さして持ちやすさに変化はありません。矛盾していますが・・・。


②書きやすさ C
※ニューポリよりも1g重い分、中身が密なのかと思いきや、そういうわけでもないようで、どうにもスカスカな書き味です。色の乗りが悪い分、色が薄いです。遠めに見ると顕著です。ニューポリほどの柔らかさもなく、黒板とチョークとの間にザラザラと摩擦を感じる硬さ、少し嫌な音がします。


③折れにくさ C
※折れやすいです。割と。焼き石膏製なので、こんなものなのかもしれません。長めに持って書いていると、筆圧が強いのも相まってポキっといきます。箱の注意書きの通り(どの箱も同じような文句ですが)、チョークホルダーを適宜使うことで折れにくくはなりますね。ちゃんと、キッタカ製の挟むだけの銀色のホルダーも買いました。チョークホルダーにはキャップ付き、マグネット付き、バネで押し出すなど数多ありますが、ごちゃごちゃしたホルダーより、洗濯ばさみの要領で挟み込む簡潔明瞭なホルダーの方が使い勝手がいいです。余計に大きくならずにスッキリしてますし、見た目も好きです。話が逸れました。


④手の汚れにくさ C
※手に付きます。書いているうちに手が白くなっていきます。それを防ぎたい方は、チョークホルダーもしくは、1本あたり0.3円の課金でもって、「キッタカ・ニューゴールデンチョーク」にすれば解決です。


⑤粉の少なさ B
※焼き石膏=硫酸カルシウム製の相応です。ただ、色の乗りが悪い=チョークが減りにくい=チョークが削れにくい ということを加味すると、その割には粉は多いのかもしれません。まあ、さして気になりません。


⑥消しやすさ C
※書きやすさのところで触れたように、摩擦を感じるゆえに、字を消そうとラーフルひと拭きしても、まだ余裕で読めるレベルで消えません。例えば、消え味抜群の不二やフルタッチが同じ力でもって1回で消えるなら、キッタカは3回といったところでしょうか。これも、黒板の表面やラーフルとの相性があるので、やはり一概には言えませんけど。逆に言えば、屋外などでは消えにくいのはセールスポイントになりますね。雨ん棒チョークと比べてどうなのかは分かりませんが。


合計  9/18点


A=3点として計算
最高の合計点は18点


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【レビュー】
箱のデザイン、大きさとも、とても印象的なチョークです。また、開けた時に規則正しく美しく詰められている(写真は数本使った状態なので抜けていますが)焼き石膏の柔らかい見た目は素敵です。上のチョークがぎっしり詰まっている写真を見ながら、昔、カラーのビニールチューブに砂糖らしき白い柔らかい固形物が詰められた駄菓子が好きだったことを思い出しました。ラムネも好きなので、チョーク、殊に石膏チョークの見た目が美味しそうだと思っていたのは、その辺りの記憶から来ているんでしょうね。ちなみに、「マンボ」とか「セブンネオン」などと言う名称らしいです。名称を初めて知りました。「ビニールチューブ・砂糖・駄菓子」で検索したら出て来るなんて、便利な世の中です。


ここまで羽衣(愛知)、不二(岐阜)と、東海地方が続き、今回は広島県福山市の橘高白墨です。ちなみに、仕入れたのは愛媛、松山市の文具店です。全国の津々浦々へ行くのが好きなので(最近は行けないのですが)、そのチョークの生まれた街並みや、町の文具店に並んでいる様子を思い浮かべてから授業に入るのも、たくさんのチョークがあるからこそできる楽しみです。これもまた、非常に共感されにくい趣味とは思いますが。


ただ、チョーク自体は個人的にそこまで好みではありませんでした。比較してしまうとやはり、遠くから見た時の色の薄さと、黒板に接する部分の摩擦が気になってしまいます。とはいえ、1本あたり5.6円程度と、チョークの中でも割合お値打ちの部類なので、文句はありません。これは上でも述べましたが、手の汚れを防ぎたければ、後ほどの記事で紹介する「キッタカ・ニューゴールデンチョーク」で解決です。とにかく、何も気にせずたくさん書きまくれるチョークですね(本来は支給品のチョークを使えばよいので、値段など気にするはずもないのですが)。
最後に見た目ですが、金型の形状から生まれるエンド部分の美しい出っ張りが嬉しいです。製造工程の異なる炭酸カルシウム製はさておき、切りっ放しよりも、出っ張りや窪みなど、ちょっと個性があるチョークが好きです。外箱のデザインも個性を主張していて、いいですよね。気兼ねなく使い続けられる、普段使いにぴったりなキッタカチョークでした。

3.--羽衣文具--フルタッチチョーク(ロング) ※炭

【ギャラリー】







焼き石膏(硫酸カルシウム)のニューポリと、一回り小さい炭酸カルシウム製のフルタッチロング。羽衣文具の主力だった2種を並べてみました。
マスキングテープは、転がらないように置いただけです。


そして、チョークマニアを謳っておきつつ、箱、ないです。。。


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【基本データ】
メーカー:羽衣文具
所在地:愛知県春日井市
商品名:フルタッチチョーク(ロング※)
※ノーマルとロングとありますが、今回は恐らく一般的なフルタッチ=ロングです。
原料:炭酸カルシウム
状況:廃業に伴い生産終了※
※韓国セジョンモールが製造方法を引き継ぎ、韓国羽衣フルタッチチョークとして販売中


入数:72本
価格:683円(2015年時点)
1本:9.5円


1本の重さ:11g
1本の長さ:7.5cm
1本の太さ:直径1.0cm


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【3段階評価】
完全なる主観により、A~Cの3段階で評価


①持ちやすさ B
※ニューポリに比べて、長さ、太さともふた回りほど小さく、しかしどっしりとした重さを感じます。チョーク=ニューポリ(しつこい)なので、相対的に持ちやすさは下がりました。


②書きやすさ S
※3段階とか言いつつ、早速掟破りのSランクです。フルタッチは滑らかを超越し、もはやクリーミーとも言える書き味です。上記の通り、多少の重さがあるため、指先に力を籠めなくてもチョークの自重でサラサラと書き進んで行きます。筆圧自慢のわたくしも、フルタッチで書く時だけは、自然と力を籠めずに書きます。初めてフルタッチを持った子どもたちからは、「書きやすすぎてやばい」との評価をいただいております。


③折れにくさ A
※折れにくいです。炭酸カルシウム製の特徴ですが、消耗も少ないので、同じ1本を使い続けられます。結果的に、経済的なのかは分かりません。


④手の汚れにくさ S
※3段階とか言いつつ、Sランク並の汚れなさです。全く汚れません。出会った全てのチョークの中でも最高ランクのコーティングです。コーティングの見た目は色ムラがあって、美しくはないですけどね。


⑤粉の少なさ A
※硬く折れにくい反面、強く書けば削れ出る粉は多少ありますが、上述の通り、軽く書くチョークなので、粉も少なく、気になりません。


⑥消しやすさ A
※炭酸カルシウム製に往々にしてある、「チョークが硬いがために黒板を薄く傷つけてしまう」ということがありませんので、サッと消せます。恐らく、力を籠めずともスラリと書けることに由来するのでしょう。黒板係からも上々の評価をいただいております。


合計  19/18点


A=3点として計算
最高の合計点は18点


謎のSランクが2つあるため、最高点を超えてきました…


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【レビュー】
ニューポリ同様、羽衣チョークの特徴として、チョーク1本ずつへの印字が挙げられます。チョークの顔ですよね。印字がある羽衣チョークに親しんできたので、何もないチョークは少し素っ気ない印象です。そっちが大多数なのですが。
このフルタッチチョークには、黒インク、筆記体ではない細めの字で「Hagoromo」と書かれています。紹介したニューポリと字体は似ていますが、丸っこいHではなく、ストレートなHですね。これもまた、製造時期によって異なるようです。


さすが、海外からの評価も高く、いいか悪いかは別にして、未だにプレミアがついて(最も需要の高い白72本が1箱数千円~〇マゾンは18800円…!?)取引されるだけのことはあり、最高に書きやすいです。これも、良し悪しは分かりませんが、メディアが廃業やロールスロイスとか言って取り上げなければ、静かに取引されていただろうに。しかし、当時の定価、700円程度のおよそ25倍とはね。「チョークは高値で転売するためにあるんじゃない、使うためにあるんだ」と、チョーク収集人が何を。


さて、フルタッチに関しては、「チョークが黒板に引っかかる」という言葉がありません。絶対にありません。きめ細かい粒子も揃っているのか、ムラなく、ダマもなく書き続けられます。延々と、永遠に黒板の上を滑らせていたくなります。冗談ではなく。美味しいクリームのケーキを食べた時に、舌の上で溶けるとか、滑らかとか言いますが、まさにそれ。書き心地が、もうクリーミーすぎて、他の雑多なチョークと同じ「チョーク」という分類にいてはいけないレベルです。もう、正規ルートでは手に入りませんが、これは早く気づいて買っておくべきでしたね。頑固なので、ニューポリさえあればいいと見向きもせず、最後に慌てて買って気付いた愚か者でしたが、それでも、書き心地を味わえただけ幸せでした。
ニューポリとフルタッチを完備し、気分によって使い分けることが気兼ねなくできる環境が整っている教室が、理想の仕事場です。


ところで、我が愛しのニューポリチョークと比較してみますと、ひと回り細身なことが分かります。評価の分かれるところですが、これはこれで持ちやすいです。逆に、この質量でこれ以上太いと書きにくいかもしれません。この長さならば、この重さが最高なのかもしれません。愛される要因は、書きやすさだけではないのです。


惜しむらくは、持ち手側のエンドの処理。他のほとんどのチョークがきれいな断面を作っている中で、フルタッチだけは少々雑な印象の断面になっています。とはいえ、見た目の趣味の部分なので、そんなことよりも羽衣文具が残してくれた世界に誇れるフルタッチチョークの書き味をもうしばらく楽しみます。まあ、在庫がなくなったとて、定価の十数倍もの値ををはたいて買い足すなんてことはしませんが、どこかで、フルタッチロング白の箱だけもらえないかしら。

2.--不二白墨製造--不二チョーク(ダートレス) ※炭

【ギャラリー】




下に記す通り、外箱と中身が一致していないため、このチョークのイラストにある凹凸は、実際にはありませんでした。
事業所かつ、インターネット上にも電話番号等の情報が出ているため、差し支えないと判断し、特に加工せずアップロードします。不都合等があればご連絡ください。



底面には「焼きせっこう製」の文句。上部には、シール貼りで「炭酸カルシューム製」。



円筒型チョークの元祖・・・早速わからない文句が登場しています。



同様に、外箱と中身が一致していないため、このように外箱の中にさらにダンボールの囲いがある不自然な箱になっているものと思われます。



※理由は不明ですが、どうやら箱と中身が一致していないようです。
 箱の上部には炭酸カルシューム製とシールが貼られており、底部には焼きせっこう製と印
 刷されていますので、恐らく焼き石膏チョーク用の箱に炭酸カルシウム製のダートレスを
 入れて販売している物と思われます。
 今回紹介するのは、炭酸カルシウム製の「ダートレスチョーク」です。


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【基本データ】
メーカー:不二白墨製造所
所在地:岐阜県大垣市
商品名:不二チョーク(ダートレス)
原料:炭酸カルシウム
状況:販売中


入数:72本
価格:400円(2021年時点)
1本:5.6円


1本の重さ:11g
1本の長さ:6.6cm
1本の太さ:直径0.9cm


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【3段階評価】
完全なる主観により、A~Cの3段階で評価


①持ちやすさ C
※他のチョークと比べると長さ、太さともミニマムなので、持ちやすさに関してはあまり考えられていないようです。特に長さはニューポリ(7.8cm)の85%程度の長さしかないので、使い始めの時点で既に多少の短さを感じます。あと、個体差ですが反りのある製品が多いので、その点を加味するとCでした。


②書きやすさ B
※値段の割には、というところでしょうか。炭酸カルシウム製の中でも相対的に硬めの書き味です。また、線を引くと時折引っかかる、色飛びするといった感じで、粒子の不揃い感は多少ありますが、45分の授業を完走しきれないほどの不愉快さはありません。


③折れにくさ A
※炭酸カルシウムなので、相応の折れにくさです。


④手の汚れにくさ A
※商品名がダートレス(汚れ、レス)なので、確かに汚れません。何度か強くこすると手に付く程度のコーティングなので、普通に使っているだけでは手は汚れません。
そのコーティングが、数あるチョークの中で最も無色に近いため、一見コーティングされているようには見えません。光の具合でテカリが見えるのがコーティングです。


⑤粉の少なさ C
※炭酸カルシウム製のチョークの中でも硬い方だと感じるので、黒板に当たって削れ出る粉(破片)も多くなります。


⑥消しやすさ S
※これには、わたくしも子どもらも驚きました。見てくれから書き味から、値段相応だと判断し、「在庫だけで十分」と思っていました。授業が終わった後、黒板係が「このチョークめっちゃ消しやすい」と報告してくれなければ気付きませんでした。このチョーク、めっちゃ消しやすいです。消しやすさでは群を抜きます。ゆえにSランクを付けました。


合計  14/18点


A=3点として計算
最高の合計点は18点


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【レビュー】
2本目の記事にして、早速全国展開ではない(であろう)マニアックなチョークだと思います。
不二白墨製造所、岐阜県大垣市にあります。ホームページも何もなく、ネット通販にもありません。情報がない中ですが、辛うじて電話番号は検索でヒットしましたので、訪問日を相談して現地まで調達に行きました。
大垣駅から南へ徒歩20分程度。市役所の南すぐです。庭、門のある、木造で少し広めの昔ながらの家屋といっても通用しそうな佇まいでした。加えて、どこにも会社名や商品名のアピールもないので、入るのには多少躊躇いました。親切に、既に玄関先にダンボール詰めしてくださっていたので、そのまま持ち帰ることができました。
電話口で、「チョークを譲ってほしい」と伝えただけで、特に問われることもなくダートレスが渡されたので、他の(焼き石膏製などの)チョークもあるのか、次回買いに行くときに尋ねてみようと思います。円筒型チョークの元祖という文句についても、気になります。


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不二チョーク(ダートレス)の特徴は、やはり消しやすさに尽きます。黒板係からは好評をいただいております。筆圧の強い人間が普通に書いた後、きれいなラーフルならばサッとひと拭きで消えます。それでいて、白色の発色も悪くなく、薄くもないので、トータルの使い勝手は中々いいですね。さらに挙げるならば、値段の安さ。正直、この値段で書きやすさを求めるのは筋違いですし、何なら秀でた点のない、書ければよい消耗チョークであったとしても全く文句はないのですが、ダートレスには消しやすさという一級のポイントがあります。黒板やラーフルとの相性や湿度もあるので何とも言えませんけど、この消しやすさはありがたいです。


今回は白チョークのレビューなので深入りしませんが、ダートレスの青チョークの発色は、他社の青チョークと比べるととてもきれいです。通常、黒板に青色チョークは用いません。少し離れて見ると、黒板の緑と同化してしまって見えづらいからです。どうしても色分けで多色を使用したい時のみ使います。しかし、不二チョークの青は鮮やかな明るい青色なので、ちょっとした囲みに使っても差し支えない青チョークです。子どもたちも「きれいな青色」と表現していました。ニューポリでも、青、緑のチョークは全く減らないのですが、この青は積極的に使いたくなります。赤はうっすらピンク色です。そんな不二チョークのカラーチョークについては、また。


実際に黒板に書いた時の太さや発色、チョーク同士の比較等はいずれできたらと思います。